編集者日記 No11

秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる
 とても有名な藤原敏行の歌。
 ふとした涼風に秋をかんじる。
 明瞭な四季のある日本の情景。
 説明のいらない感覚。
  …いいですね。

文字であそぶ 絵であそぶ・
文字であそぶ 絵であそぶ・

秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる
 とても有名な藤原敏行の歌。
 ふとした涼風に秋をかんじる。
 明瞭な四季のある日本の情景。
 説明のいらない感覚。
  …いいですね。

 だった、はずなのに!
 ものすごいスピードで進行する気候変動、四季のリズムも崩れていく。
今年も、長くて暑い夏でした。ほんとに、ほんとうに暑かった。
この先の天気予報では、「秋は一瞬で過ぎ去ります」なんて寂しいことも言ってます。

 夏といえば、夏休み、お祭り、イベント、旅行…。ワクワク感があって、盛り上がる季節のはずでした。
 今は、あまりの高温で、“危険だから外に出るな”とテレビから注意をうけるしまつ。
言われなくても、真夏の日中の外出など、もはや、できればしたくはない。

 そんなこんなで、先月8月は、エアコンのきいた室内で、ついつい夏の甲子園など観てました。
 特に興味があるほうではないのですが、なんとなく眺めてしまったというかんじ。
試合の中身は置いておくとして、興味深かったのは、球児のお名前。その読み方。
画面に出る名前の漢字をみて、さて?何と読むのか?まるでクイズみたい。
そのあと、アナウンサーがフルネームを発してくれるので、そこで答え合わせ。
「そうくるか~」というような読み方も多く、正解率は、ぜいぜい5割程度。
坊主頭の選手とキラキラネームの組み合わせに、“今どき感”をかんじてました。
 傾向としては、音が先にきて、それに漢字をあてる、当て字っぽいものが多いようですね。

 そう言えば、ちょっとむかし(昭和末期頃?)は、トサカ頭のお兄さんたちが、夜露死苦(ヨロシク)みたいな当て字を編み出して、迫力を出してましたね。

 そして、もっともっとむかし(江戸時代?)、まだ文字が読めない人が多かったころには、絵や図や記号などを使って情報を伝えていたようです。
 例えば、暦を絵であらわす“絵暦”。
 有名なものには、南部盛岡の「田山暦」や「盛岡暦」があります。
「盛岡暦」では入梅や節句、八十八夜など、農作業に直接役立つ季節ごとの情報が絵になっています。
 例えば、荷物を奪う盗賊の絵、「荷奪い」で「入梅」をあらわしたり、あるいは、大きな鉢・重箱・小さな鉢・弓矢と4つの絵を並べた判じ絵で「鉢・重・八・矢」で「八十八夜」を知らせる。

盛岡暦

 こんなふうにみてくると、昔から、日本人は、絵や文字を巧みに使って、“ひとあそび”していたようですね。
 トンチやシャレを利かせ、ちょっとした工夫を楽しむ、そんな気質やセンスを、わたしたちは、実はずっと持っているのかもしれません。

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テーマは「〝戦後〟昭和の残像!」~紙芝居屋が自転車でやってきた!~

ご参加をお待ちしております。